逃亡
「シズカさん、探しに行こうじゃないか?
ショウ、明日からしっかり留守番をたのむよ」
そう言って東京を出た
シズカって人は、落ち着きがなく
やたらめったら何でも買いたがった
そして、たいがい『ちょっと、出しといて!』
と、私に出させる
この人は病んでいる
世の中に個性としてネガティブな方向がある
相手のことを考えられないとか
常識に外れたことをする
私たちの小さなころなら、教育がしっかりできていない人は
ただただ、自分の欲望を押し付けようとする
でも、このごろでは、嫌な人はたいがい、少し病気だ
何かのストレスに病んでいて
平気で普通では考えられないことをする
新幹線に乗りこむと九州までしばらくある
私はグリーン車にした
「へ~、新幹線ってそんな特別な席があるんだね
飛行機にあるらしいって言うのは知ってたけど」
かなり席は開いていて
二人で座ると、回りには誰もいなかった
彼女が嬉しそうにシュウマイ弁当を開ける
二人で食べながら
「シズカさん、子供は巴さんだけなの?」
「いや、違うよ!」