ただ、毎日を
おばさんであること
美也はそう考えた時にハッとした
大輔がスミカを性的に退けなかった理由
中高生の男子だから仕方がないと
一度は考えたが
もしかしたら、自分と同じかもしれない
同じ血が流れているのかもしれない
そう思ったら、スミカに文句を言うのはお門違いだ
美也は自分が母のようになってはならないと思うし
スミカを見ていると、体の関係を男と結ぶのは
彼女が男好きだからではなく
生きるためだと感じた
「お父さんやお母さんは?
いないの?」
「たぶんいるんだとは思うけれど
物心ついたときから施設で育ったし
良くは知らない
知りたくもないしね」
おばさんであること
美也はスミカを見つめながら
母を思った
母はただ真面目な人だった
だから、美也が大嫌いだった
小学校の5年の時
従兄弟の中学生と抱き合っていた所を
見つかって
それ以来、美也は完全無視!
今に至るまで、喋った記憶がない
三人姉妹の一番下
姉たちも母と同じだった
食事すら作ってくれなかった
父がたまに見るにみかねて
お金をくれる
もちろん、自分が悪いから
仕方なかった
でも、大人になって
実は、自分のそれは
病気だったと知る
母としたら、ショックではあっただろう
だけど、自分の娘じゃない
美也は家庭の中では
全く無視される生活のなか
外ではより一層男の言う通りに
なったのかもしれない
おばさんであること
美也の愕然とした顔を見て
スミカは
「あ、安心して!
大ちゃんは、いい子だよ
ちょっと馬鹿だけどねー」
今まで、大輔をこんな風に言った人間は
いなかった!
しかし、美也は同じように思った
「いい家ってやつは
羨ましいよ〜
ちょっとセックスしたくらいで
ママがでてくるんだもんね
人間って本当、不公平!」
美也は、やっぱり大輔と関係したのか
ガッカリした
「まあ、そんなこと
慣れっこだからね
気にしないで!
美人で上品な、育ちのいいママ
嫌ほどわかってるから」
美也は大輔に心を砕いたことは
スミカの言う通りだ
でも、自分は違う!
もしかしたら、スミカと同じかもしれない