逃亡
息子のマンションでの生活が始まって
私は美佐子さんは本気で息子を愛しているんだと
つくづく、感心した
私には韓国ドラマのように誠実に敬意を払ってくれる
私は五時に目が覚める、みんなの迷惑にならないよう
台所に行って、こっそりお茶を淹れようとすると
美佐子さんは化粧もすました完璧なエプロン姿で
シャケを焼いている
「あ、おはようございます。お茶ですよね?
梅昆布茶でも入れましょうか?」
そう言ってさっさと淹れてくれる
「ありがとう、息子の弁当を作っているのかい?」
「はい。それもありますけど、拓さんの朝食も
兼ねてますから、一石二鳥なんです」
拓はシェリーが生まれてから夜中の土木作業の仕事に
頑張っている
拓がそろそろ帰ってくる時間だ
「そんなのはチェリーにやらせればいいよ!」