発達障害の母
村中の盛りのついたおばさんの相手
そんな噂から私は勝手にもっと、汚れた人間を想像していたが
その真っすぐな瞳と、その奥の女ってものをよく知っているという
まなざしが、あ、この子だ!そう気が付かせた
「かずのりくん?」
「うん。あそこのばあちゃんのむすめなんだよね」
あそこのばあちゃん......うちの家はよくこう呼ばれている
「そう。」
少し考えてから
「母がお世話になりました」
自分を卑下するつもりでそう言った
「いいえ、どういたしまして」
そう言って笑う
そして、私の手を取ろうとした
「あ、私は大丈夫」
すると、
「そっか、じゃ、さようなら」
悪魔は天使の姿をしている
そんな言葉が頭に浮かぶ
あれでは、この村の女という女が
その欲望に負けてしまうのも無理はない