低い山々
盆地の中にはポツンと自分がいるような
それでいて、まだ何かやり残しているような
細い手を握りしめながら
涙が流れて来て
長いこと目を背けていた母を見つめた
あ.....何かが違う
痴呆の老人たちには
取材で嫌ほどあった
介護で苦しんだ話も
嫌になる程聞き
まとめた資料はテーブルの高さほど
それは老化ではないと気がついたのは
情けないことについ最近だった
自分に才能もなく
生きる価値もないと気がついた時に
ただ、ただ、自分から生まれた子供たちを
全力で育て、そして、自分の生きる意味は
そこにしかないと思っていた