.....の無い

沢村の小説のヒロインがミキだと思うと
物悲しいような
それでいて晴れがましいような

「姉さん、沢村教授が姉さんに会いたいって
言ってるんだ」

そう、まっすぐに切り出した
会ってほしいような
会って欲しく無いような
でも、康太には決められない
あの、小説通りならば
二人はもう一度会えば
幸せになるんじゃ無いか
姉の幸せを自分の感情で阻むことはできない

その言葉を聞いたミキは
康太、心を隠すことはできなかった
嬉しさを隠せずに笑ったミキの顔は
康太の今まで見たこともない
幸せそうな顔だった