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発達障害の母

電気釜だから普通にコメをといで 分量分の水を入れる 羽釜の中にメモリがついている 試しに聞いてみる 「二合だからこのメモリまで水を入れてるよね?」 すると母は無邪気に驚いたように 「え?そんなメモリがついていたの? 知らなかったわ~」 「この電気…

発達障害の母

忙しいと言いながら電話を切る それが何年も続いていたから 母親に興味のない娘は 何が忙しいかとも聞かずに そんなものなんだろうと思っていた しかし、こうして一緒に暮らしてみると 忙しいことなど何もない 朝、一番に近所を歩いてきた後に 洋服を着替え…

発達障害の母

夫の義母の介護をする前に いろいろと介護の勉強をした 90過ぎていても台所に立つ仕事ができるようで 本人がやる気があるようならば できるだけやらせてあげて 手を出さないようにするほうが良い そう聞いていたから、そうしたし ここに帰ってからも母に台…

発達障害の母

ものすごくポジティブだし 頑張る!というのが座右の銘のような人だ でも、うれしいと思うのはここまでだ 老人が健康を意識して、毎日を明るく生きていくために 意図して頑張る! 母のそれは、そういうものじゃない と、すぐさま気づく 朝起きてからすぐ、じ…

発達障害の母

痴呆症だとか老人特融のボケ そんなものではないと確信して いっそう、落ち込んだ知的レベルが低い そして、少し変わった行動をする 集中して物事に取りくめない ここに帰ってくる前にかなり調べて 自分なりの覚悟もできていた その覚悟を持って臨もう そう…

発達障害の母

それでも、これまで生きてきたのだから その、生きるノウハウは十分持っている たくましさは感心する 私がこの町に久しぶりに帰ってきて ご近所の人や親せきの人間に 「母がいつもお世話になってありがとうございます」 そういったとき、顔には出さないよう…

発達障害の母

なんだか泣けてくる今まで自分の生まれが犯罪者がいないギリギリの貧乏な生まれだと納得していただからこそ、必死で生きて来たつもりだった子供たちにも誰にも後ろ指を指されないようにそんな生き方ができる基礎を作って来たつもりだった生まれた町に年老い…

発達障害の母

もちろん、夫婦で子育ても終えて それからの楽しみのために 家を新しくしたりリフォームしたり 自分たちの趣味に投資するなんて使い方を 否定するつもりはない ただ、母の場合は本人が趣味などなく センスの低さに泣きそうになるのだが 近所、親戚への見栄だ…

発達障害の母

父が亡くなった時母は60くらい保険金でも、降りたのだろう大きな家に住みたかったのは理解できるが将来に子供達が帰って来て住むわけでもなくまったく、本人が欲しがる以外には必要性のないものを「建てたかったから!だって、大金が入って来たんだもの」そ…

発達障害の母

朝、5時半に起きると母のベッドはからだった母が起き出したことに全く気がつかなかった自己権をに落ちながら無駄に広い家の中を探すこの家は私が生まれた家ではあるが私が生まれて16歳まで生活した場所はこの家のごく一部でその狭い空間で家族四人が今ならパ…

発達障害の母

私は吉川さんに相談するときに心の奥底で、『それは違うんじゃない!』そういう明確な意見が聞けることを期待したのだが母の話を細かく話すとその言葉は出てこなかった専門家に診てもらい相談に乗ってもらうことを勧められたが、発達障害は置いといても田舎…

発達障害の母

そう、老化特有の症状がどういうものか十分すぎるくらいわかっていただからこそ、不安だしイラついてもくるしそして、何より自分のいままでの生き方を全面的に否定されているかのようないままで自分がやってきたことが全て虚しい努力であったと思い知らされ…

発達障害の母

「ん?16の頃から親と話とかしてなかったの?」「吉川さんのところの両親と同じように考えちゃダメだようちの親なんか子供に適切なアドバイスができるようなしろものじゃないからね」学生時代なら絶対に話せなかった自分のコンプレックス今だから躊躇なく言…

発達障害の母

「93で亡くなったからお宅のお母様よりは随分、上よその義母とずっと一緒に過ごしていたからうちの母が老化のせいで、ああなったんじゃ無いっていうのはよくわかっているのよ老化ならばどんなに嬉しいか....」吉川さんは少し困ったように言葉を続けなくなっ…

発達障害の母

それならばどんなにいいか年をとってボケたり物忘れがひどくなったり何かに固執して頑固になったりそれはよく知っている父は五十代の時に病気で亡くなっていたし夫の父親も早くに亡くなっている「それがね、ついこのあいだまで私、主人の母の介護をしていた…

発達障害の母

日常生活が快適とは言えなかったが普通の日常生活は送れていたから小学校に上がる頃には母親には全く興味がなくなっていた「小学校に上がったら自分のやりたいことに夢中で母親がどうだとか考えてもみなかったわ片付けろ!とか手伝え!とか怒鳴っていたのは…

発達障害の母

私は苦笑いしながら「う〜ん、子供だったからわからないけどそんなことがあったとは思えないくらい隣のおばさんには可愛がられたそれに、お隣限定じゃなくって誰に対してもそういう類のことをしていたわ」「でも、それって、発達障害とは違うと思うけどなぁ.…

発達障害の母

「ちょうど、みんなでお箸をつけようってする時に隣の家のチャイムが聞こえてくると立ち上がって家族の目の前で居間の窓を開けて誰が帰って来たかとか誰が訪ねて来たかとかわざわざ見に行くのよそこまでは、まぁいや、そこまででもちょっと子供ながらに『え…

発達障害の母

「そういうこと、あるってことは知っているけれど母親との関係が希薄な娘って信じられないくらいうちは濃密だったかな」吉川さんのその言葉に「うらやましいって思ってたよ世の中ってそれがちゃんとした親子関係みたいに定義付けてるからねでも、うちは一緒…

発達障害の母

「母とは数年に一度孫を見に東京に3日くらい来るそんな付き合いしかしてないのここに30年はそんな風にしか接したことがなかったの」「スズキが実家に帰ることは?うちなんて、まぁ、都内ってこともあるけれど結婚するまで実家暮らしで一緒に住んでいたし結婚…

発達障害の母

今まで、父が30年前に亡くなってから田舎で一人で何事もなく暮らして来たのだまさか、発達障害などでは無いそう、心の奥底で考えたいこれは、たんなる個性だそう思っていたのに吉川さんのその話を聞くと不安にもなるその顔色の重い私を見つめると「ん?何?…

発達障害の母

電話のことだけで、少し不安になりすぎたのかもしれないもしかしたら長いこと住んでいた場所の違いそれが自分に母に対する違和感をもたらしているのかもしれないそんな楽観的な気持ちもしてきた「でもね、社会的には貧乏で最低な親に生まれた子供もちゃんと…

発達障害の母

なかなか難しいのはよくわかる個性をいう時に大前提に『ふつう』がどこまでできるかそして、その上下で許される範囲で個性が語られてしまうそれは自分のいる環境で決められかねない場合もある極端なことを言えば戦争や人殺しが当然な国の人間が平和な日本で…

発達障害の母

「ああ、そう言うことねうん、それが深刻な問題なのよ貧困に生まれてもそれなりに普通であれば高校まではいけるくらいのシステムは日本にはあるのよ日本の教育システムは色々言われているほど悲惨ではないのよ本人が周りを見回して友人と同じようになりたい…

発達障害の母

「何?もう、なんのストレスもなさそうなのに悩み事?」吉川さんはいつだってこうだまっすぐに人の心に敏感に入ってくる「うん、ちょっと、発達障害について教えて欲しいんだけど」「え?何?スズキの子供達ってそれじゃ無いでしょう?」さすがに、すぐに母…

発達障害の母

大卒の切符だけが欲しかった私と根本的に全て違い多分、在学中は彼女は私を軽蔑していたのだろうそれでも、学食で会えば話はするその程度だったがなんとなく卒業してからも数年に一度は連絡を取り合っていたそれは、すべてが私の憧れである彼女との縁を少し…

発達障害の母

彼女は学生時代からの友人だが私のコンプレックスの根源でもあるまず、見た目が美しいそれは五十代になった今も変わらない母親は会社を経営していて父親は彼女が小学校の時に病気で亡くなっている大学の研究室に残りかなりの晩婚ではあったが同じ研究者の夫…

発達障害の母

私が東京で築いた生活の中では発達障害は子供の頃のその子供の家の財力でなんとかなっていたし周りも穏やかに見つめてその才能を伸ばし、幸せに暮らしていたしなんの問題もないようだっただいたいが専門職などに付いて普通の人よりも世間的にはかなり上の生…

発達障害の母

「何言ってるのよあそこの子供は早いうちにアメリカの大学か何か行って飛び級で数学か何かの研究してるって話だったじゃないあの子、小学校で迷惑だったわよね〜国語はできなかったけど英語はあっという間に覚えてさっさと、アメリカ行っちゃってあそこって…

発達障害の母

あ.....もしかしてこれ.....そんなふうに考えたがいやいやと自分の考えを否定したこんなに何十年も普通の生活してきたのだ私が子供の頃だってちゃんと子育てしてきたのだそう考え他のだが、ものすごく不安になるもちろん、発達障害である有名な人間も知って…

低い山々

それが、一本の電話でものすごい心配の種になってきたのです今までも電話で話しを度々話していたのだから母は変わっていないのだろう自分の健康の話周りの親戚や友人の話孫たちの心配そんな話が延々と続くのだがそれはよく聞く一般的な年寄りの当たり前なこ…

低い山々

母親が自分の意識に登ったことなど一度もなかった気がする16くらいから実家から出ていたのでそこから40年母親は妄想の中の人となっていた世の中の常識通りの子供を愛して、まっすぐで料理が上手くて、冗談は言わない優しく美しく人間的に立派それが、ずっと…

低い山々

それは、十数年前のことで今、その子供がどうなっているのかも知らない自分の興味は子供達の進学や就職の心配だけで一流大学を三人とも卒業して一番下の子供が、一流企業に就職して、趣味の料理に没頭した料理は好きだったが子供と同居している間は好きなも…

低い山々

もちろん、普通の生活や国語に関してもできなくは無いが公立の小学校に行く普通の子供でもすぐにできるようなことがなんども繰り返さないと理解できないそして、すぐに忘れるそれでいて、本人が気に入ったことに対する集中力はこの年代の子供には珍しいほど…

低い山々

算数はもちろん、体育、音楽国語以外はよくできる小学校も慣れるに従ってなんとか、他の子供と同じように生活できるようにはなったし机に一時間近く座ることもできるようになったただ、やはり、普通では無い親が心配して心療内科に連れて言ったところ発達障…

低い山々

ママ友たちも何かと慰めていたが幼稚園は無事に合格したが小学校受験は無理だった無理だと言っても私立の付属の幼稚園だからなんとかお金で解決したその頃でも机につくこともできずなかなか、指示通りに動くことはできないしかし、いわゆる勉強はよくできる…

低い山々

このレベルの子供達で幼稚園に入る前から椅子に座っていられない子供はまず、いないその三人の子供の家も上の二人は幼児教室でもいつでも、きちんと先生の言うことを聞ける子供だったそれが一番下の子供はまず、二歳から入れた幼児教室についていけなかった…

低い山々

子供たちの教育にはかなりハイレベルなものをと幼稚園受験から小学校受験と走り回ったそんな時に出会ったママ友たちも当然同じような家庭環境で子供の教育にはお金に糸目をつけないそんな家庭のママ友がほとんどだったそして、子供達は当然親のDNAを受け継い…

低い山々

それが全て終わった時にそこから学んだものは人の心と成長の妙であった人間の脳の記憶と思考力とそれを促進する感情その三つの関係性に心惹かれその三つのバランスが素晴らしい人間を作るそれに気がついた時に度々かかってくる故郷からの電話それは、今まで…

低い山々

盆地の中にはポツンと自分がいるようなそれでいて、まだ何かやり残しているような細い手を握りしめながら涙が流れて来て長いこと目を背けていた母を見つめたあ.....何かが違う痴呆の老人たちには取材で嫌ほどあった介護で苦しんだ話も嫌になる程聞きまとめた…

底から

一番底辺だった自分の生まれ東京に来て四十年その底辺から登ることだけを考えたそれがうまく言ったとは思えないがもう、限界であることは、黒く、立ち並ぶ高い建物そして、高校の頃の自分のまま周りの人間に馴染めない自分それは、自分の戦いが終わったこと…

家に帰れば夕ご飯を食べそして、風呂に入り適当に心にかかっている宿題をやってそして、ラジオを聴き漫画を読み、小説を読む高校時代に一緒に住んでいた家族の様子を描写することはできない公務員の父、日雇い土方二出る母親五つ下の弟は小学生興味は全く家…

空の色

故郷の空は当然美しくなければならないその思いがここに帰って来ることを阻み続けてきた東京では決して見ることのできない盆地を囲んだ青い空、そして高い雲この盆地を見下ろす小さな山高校の頃の一番純粋だった私はクラブ活動で毎日あの山の頂上まで走って…