最近の星人

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受験しない子たちは
休み時間に、学校の宿題を終わらせ
終わった子は、塾のテキストをやっている
受験組をうらやましそうに見ていた
自分がいざ勉強をするとなると大変ではあるが
受験する子たちは、クラスの中では
だいたい、自分ちよりも金持ちそうだし
なんとなくだが、自分たちよりも親に愛されている気がした
学校の勉強はそこそこできる子が
家に帰って親にいう

「中学受験ってしてみたい!」

すると、親は

「は?そんなお金がどこにあるの?
公立に上がれば、ただで中学行けるんだよ
何を好き好んで私立なんかに行く必要があるの?」

そう、突き放されて、学校で誰もが平等だ!
なんて言ってる先生の話なんか、嘘に決まっている
そう思ってしまう
勉強は嫌いじゃないけど
小学校の勉強よりも難しい塾には行けないのだ

おばさんであること

満里奈は笑いながら

 

「そうね、盗みを働いたり

何か犯罪まがいなことをされると困るけれど

でも、それでも紹介する!」

 

美也も明美も不思議な顔をして満里奈を見つめる

 

「私ね子供いないでしょう?

だから、あなたたちを見ていると

子供ってある意味リスクというか

冒険というか、そういうものなんだなって

私にないものってそれよね

だから、その子、会ってみたいの

そして、その子の後見人になってもいいわ」

 

満里奈のその言葉に驚きながらも

美也は確かに子供を持つということは

ただ、ただ、冒険かもしれないそう思った

明美

 

「確かにね〜うちの子なんか、本当に心配

最近、女優さんの子供で何度も覚せい剤とかで捕まった男いたじゃない

あれ見ていて、他人事とは思えなかったもの

うちの子だって、ああならないなんて思えない」

最近の星人

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小学校の休み時間
公立の小学校の六年生のクラス
休み時間に一生懸命漢字を書いている子
計算をやってる子がチラホラいる
中学受験組だ

星人は昨日の夜、You Tubeで聴いた曲の中に
気に入ったものがあって、その楽譜をスマホで探していた

「お!スマホ!学校に持ってきていいのか?」

横の中学受験組の男子が星人に話しかけてきた

「携帯はお前だって持ってるじゃん!
これ、携帯と一緒だしな」

そう言って無視してると

「お前、中学受験やめたの?」

星人はクラスでは、いや、学年でも、ちょっとした変わり者の
金持ちの子で有名だった

「うん。だいたい、うちの親は別に受験なんかしなくていいって
言ってたからね
出しゃばりのばあちゃんがいて、僕にやれやれってうるさかったんだ
でも、そのばあちゃんも家には来なくなったから
せいせいしたよ」

隣の子はスマホもうらやましかったが、中学受験をしないのも
うらやましかった

公立の小学校では受験組は特別な子たちだった

おばさんであること

スミカと別れると

満里奈と明美にラインした

何かいい仕事は知らないか?と聞くと

満里奈がすぐに

ちょっと会おうという話になって

三人は集まった

美也の話を聞くと、明美は顔をしかめた

 

「仕事は紹介できないこともないの

だって、パパの知り合いに店をしている人は沢山いるから

まあ、夜の仕事も紹介できるわよ

だって、そういう仕事が似合う子なんでしょう?」

 

そう言われて、スミカを思い出す

確かに学歴は中卒だろうし、今は風俗まがいの仕事をしている

でも・・・・

そこまで考えていると

満里奈が

 

「でも、その子、二十歳なんでしょう?

そういうお店で仕事しようと思えば出来るじゃない!

かわいいんでしょう?

それならば、彼女だって馬鹿じゃなさそうだから

それくらい考えつくはずなのに

そういう所では働いてなかったってことね

私、藤沢の方につてがあるから頼んであげようか?」

 

「でも、身元も怪しくて保証人になるなんて

大丈夫?」

 

明美が心配そうに言った

ただ、毎日を

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真澄はただただ、おびえて暮らした
あの従兄弟がいつ来るだろうと
びくびくしていたのだが
彼はこない

速水は一応、真澄が怒鳴り込んできたときの話を
みいに報告した
みいは自分の所のその手合いのスタッフを総動員して
真澄の従兄弟の孫にたどり着き
彼が面白半分のハッキングした会社に
その孫の招待をばらそうかと脅して
彼はすっかり大人しくなったのだ

速水はこのことを真澄には知らせなかった

しかし、星人は何か感づいたらしいが
まあ、まだ、小学六年だから
あえて話すこともないだろうと
タケオと話し合ったのだ

それから真澄は毎日を地味に
そして、自慢の息子と嫁が
一番自慢できないことを知り
すっかり大人しくなった

ただ、毎日を

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速水はすぐに何があったかを把握した
そんなことは起こるだろうと覚悟はしていた
みいが完璧なブロックとは言っていたが
ものすごい勢いでいろんな人間がネットに群がっているのだ
これからは安全なんて言ってられない
でも、それはそれでいいと思っていた
もし、今、星人にわかっても
そして、星人が反抗してタケオのように
家を飛び出したとしても、それは、覚悟の上だ

「誰に10万払ったんですか?
別に世間にみいおばさんの会社のこと
私や夫の過去なんかが流れても
別に困りませんよ」

平然と言い放つ速水に真澄は驚いた

「何を言ってるの!
こんな恥ずかしいこと!
常識のない人ね」

速水は平然と

「常識がなくて結構です
とにかく、うちは別に何ともないので
好きにしてください
お義母様が気になさるのならば
お金をお払いになればいいわ
うちは出しませんからね」

そう、言って速く帰れと言わんばかりに
扉を開けた

おばさんであること

美也は自分のことを思い出して

スミカが想像していた通りの育ちであることと

大輔が自分と同じ病気かもしれない

そう、思い立つと

スミカに対して親近感がわいてきた

彼女は恵まれない環境で育ち

生きるために努力している

それは、自分の子供たちなんかより

よほど、凄いと感心する

住む家もなく、ただ、自分の体一つで生きていく

綺麗ごとではない彼女の本当の姿は

美也に母親であることを忘れさせた

 

「これからどうするの?

何かあてはあるの?」

 

スミカはびっくりしたように美也の顔を見た

 

「おばさん、どうしたの?

ここはおごってくれるんだよね?

それからもなんとかしてくれるの?」

 

スミカはほとほと困っていたのだ

早急にお金を手に入れないと生きていけない

美也は家族のことを考えると

特に大輔のことを考えると、家に連れて帰るわけにはいかない