理想の父
人と会話はあまりできない
父が一体どういう人だったかを知る術はもう、ひとつもない
母もミキももういない
みぃは?いや、知っているはずがない
そう思ったが、念のために連絡してみると
父と母が知り合った経緯や父の仕事のことなど
祖父からよく聞いたと言う
みぃは小学校まではほとんど祖父と一緒にいた
康太は速水に今日はちょっと、用事があると
みぃのところに飛んで行った
とりあえず、このもやもやした気持ちを整理してから出ないと
章子や雅紀には会えない
みぃは極上の昼食を取り寄せて待っていた
「お兄ちゃんとランチなんて初めてじゃない?
お父ちゃんのことを聞きたいんだったら
心置きなく話せる、ここのほうがいいと思って」
会社の社長室に食べ物を並べていた
「ああ、本当だな~
みぃと過ごした時間は本当に短かったしな」
そう言って、座ると
「何?どうしたの?急に父ちゃんのことだなんて」