理想の父

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康太は、すこしうんざりした
娘のことは気になって仕方ないし
とにかく、父親の権限があるとすれば
嫌な父親と思われても
彼らを別れさせたい

いや、その権利はあるだろう?
そんな風に自問自答しながら
娘に幸せになってほしいと父が願うのは
ごく普通のことだろう

自分の父は?
父の思い出など何一つなかった
声を聴いたことがあっただろうか?
本当に無口な人だった
仕事はトラックの運転手
あまり家には帰って来なかった

ただ、本人は母と結婚できたのが
世界一の幸せ者で
たまに家で食事をする時、そこに母がいるのが
極上の時間であるようだった

あ・・・・
父もそうだったんじゃないだろうか?
父もどう考えてもごく、普通の人ではなかった
雅紀のような人間だ