姉のこと

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小百合は素早く、さっさと家事をするタイプではないし
実際に頭がいいかというと、そうでもなく
おっとりしているところがあるから
子育てが少し心配だったのだが
小百合の母親が

「うちにね、長いこといてくれたシッターさんが
娘に子供が出来たって話したら
お嬢様のお手伝いをしたいって
長尾さんって人なんだけど、申し出てくれているの
康太さんさえよかったら、しばらく、通いでもいいから
行かせてもらえないかしら」

康太はその言葉に、腰が抜けるほど驚いた
仕事をセーブして、赤ん坊が手がかからなくなるまで位は
自分も子育てに向き合おう
そんな風に考えていたのに
シッターさんってやらを雇う発想はなかった

それも、『通いでいいから』ってことは
うちに泊まりがけで来てくれるのが、本意ということなんだろう
赤ん坊がいるってことは、確かに
夜中などに手があると助かるに決まっているが
康太は全くの感覚の違いに、参ってしまった

「あ。もちろん、彼女の給料やなんかは
心配しないで頂戴」