秋風

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恵さんは、正二が風俗小屋で生まれた時から知っている
そして、ミキがそこで働き
みぃを連れてきたときもいたし
正二が心底惚れていたのはみぃの姉、ミキだったことも
そんなことをすべてわかっていながら
ショウを産んだみぃのことも

みぃがずっと、正二を想っていて
今でも、忘れてないことも知っている
恵さんだって正二は忘れられない
大木を見た時に、恵さんもすぐに正二を思い出したのだから

大木は幾つだろう?
あの時死んだ正二と同じくらいの年齢ではないだろうか

日本の下層階級でどぶの中を這いずり回ってるような人間は
早い時期に妊娠したりする
だから、正二がその経済に関する才能を発揮しだしたのは
中学で数学を習い始めてからだし
ミキがあの店に来たのは中学を出てすぐ
みぃなんか小学校だったかもしれない
恵さん自身も幹部たちには『ジジィ』と呼ばれているが
実際は五十代だ

だから、みぃが大木に心惹かれるものがあったとしても
バカほど、年下ではないし
大木も新卒でここの試験を受けたのではない