タケオという男

お茶を飲み終わるとダッフルコートに手を通しながら

「まかせといてね!このままだと東大は無理でも
慶応ならば行けそうだよ
ちゃんと大学を出たら、働いて返すからね」

そう言って帰っていく
感じよくて、二人の間柄が
男を買う若い女と、体を売る男だなんて
きっと誰も思いはしない
今では速水も質素なお嬢様のような恰好をしているから
見た目は普通の誰が見ても雰囲気のいいカップルだ

速水は苦笑いしながら
会計を済まそうとすると
細い、いかにもホストにしか見えない背の高い男が

「もしかして、あなた、ハーミー?」

それは木佐だった