そして恋人へ

「あ、ちょ、ちょっと待って
DVって言っても、たぶん、あの、親がそうだったとか
そういうんじゃなくって、嫁が特殊で
彼女じゃなければ、そんな男じゃないよ
そういう環境じゃなかったし・・・・」

あたふたとしながら、中学生の優未相手に
本気で弁解している自分に呆れてしまった

そんな康太を笑いながら

「よくわかんないけれど
おもしろ~い!」

そう言って笑ってくれて、康太は楽しくなる

本当言うと、康太は怖いのだ
自分は女の人に対してDVをやるタイプなのだろうか?
こういうやつは父親の遺伝とか言われる
自分の家は母親があんなだったし、爺さんはあんなだけど
誰も暴力なんか振るわなかった
いや、爺さんの実家は代々医者の家か何かですごいのだ
父親はずっと、トラックの運転手で寡黙な人だった
母が戸籍上の妻であってくれたら、ほかは何でもいい
そう、思っていたような大人しい人だった