全く何もないまま

正二はミキのそんな気持ちも全て
わかっていた
だから完全な片思いなのだから
できるだけ離れていようと思っていたし
話しかけないようにしていたのだが
こうしてそばにいれば意識もするし
心が苦しくもなる

ミキの望みもなんとなくわかる
きっと、普通の家庭に育ち
今頃は大学受験を目指しながら
楽しい高校生活を送り
あの美しさで、あの賢さならば
すばらしい人生が待っているだろう

俺は?
俺だって今の財産があれば
ここを誰かに売って
真っ当な仕事につくか?
そうすれば、ミキを幸せにできる
今のミキの夢は全て叶えてあげられる