康太は普通でありたかった
あの、小汚い爺さんと
たまに帰ってくる小心者で
気が弱い、母にベタ惚れだった父
お金はないわけではないのに
爺さんの飲み代や母親の男遊びで消えて
本当にど貧困の子供時代だった

それを変えてくれたのだ姉さんだ
ミキが帰ってきてからは
全てがうまく回り始め
自分はこの貧困から抜け出して
普通の家を持つ人生を送りたいと
勉強を始めた

全てがかなった今なのに
そこには、やはりひずみがあり
妻にした女はその普通でないところを
愛でてくれる

そんなことを考えているとミツホが

「私ね赤ちゃんができたみたい」

そう突然言った