康太は彼女が速水だと知っている
でも、あえて今までは話さなかったのだ
今でも母のことは胸に刺さり
速水を見ていると
母を思い出す

妻であるミツホは康太の母に対する
コンプレックスは知っている

「彼女は姉さんとこの娘
速水ちゃんだよ!」

ミツホは信じられない

「え?嘘でしょう?
だって、顔が違うわよ
あんなに派手な子じゃなかったし
もっと、普通のお嬢さん」

ミツホが最後に彼女を見たのは
高校入学のお祝いに遊びに行った時だった
入った高校に少し意外な感じは抱いたが
教授とミキが速水にはまったく
学力に関わる教育はしていなかったから
それはそれで、感心したものだった