発達障害の母

なんだか、横溝正史かなにかの

小説でそんな話を読んだような気がして

この村は八つ墓村か!とツッコミを入れたい

ところを我慢して


「それで、あの子が彼の子供って

どう言うこと?

私の知っている限り

彼に農協の勤めるような

立派な子供ができるなんて

考えられないんだけど」


「だろう?

それが、あ〜ちゃんがいなくなった後

それもだいぶ後だけど

県の方から、何かの視察に

数人の県職員が来て村に滞在したことが

あったんだよ

その中の美人の係長さんが

彼の母親なんだ

すっかり、ここで彼にハマっちゃってね

確か、かなり年上だったんだけど

ここに越して来て

一緒に住んで、子供を産んだんだ」


聞きながら、その当時の彼を思い出す

そう、確かに抗いがたい魅力のある

男だった