父もそんな母親の手作りに囲まれて嬉しそうにくつろいでいる

「あなた、今年も学生からのチョコレートを
段ボールいっぱい、もらってきてくれるんでしょう?」

「ははは、まぁね、それでも、最近は
僕の追っかけはずいぶん少なくなったんだよ
僕も年だからね」

ミキは嬉しそうに、

「じゃぁ、私のチョコレートケーキは今年は
少し大きめに焼きましょうね
速水は?何か作ったりしなくていいの?
最近は女の子同士でプレゼントしあうのでしょう?」

ミキはそんな普通の女子高生に育った
娘の速水をうれしく思った
もちろん、自分は高校にいっていないし
中学の頃もお金のない家で
バレンタインは母親が男相手に持っていくチョコを
横目で眺めていたものだった