速水はそう言いながら
少しうんざりした

叔父の康太も、その奥さんも
そして、父親も、みんな東大出身
父は教授だし・・・・
低レベルの高校の宿題にもひーひー言ってる
自分だけ全く違う生き物だ
母も中卒だというが、それは昔の母の実家が
ものすごく悲惨な状態であったらしく
ちゃんと、普通の家庭に育っていれば
たぶん、東大にでも行っていただろうくらい
博学だし頭が切れる

落ち込みながらも
勉強しろと言われるわけでもなく
いつだって、やさしい両親の前で
プリンを食べながら
幸せに感じている

「どうしたの?速水
プリン、もう一個食べる?」

そういう母の言葉に、うなずいて
ソファのいごこちにホッとする
この家は古い
父親が育った家だ
その古い家の中で母の手作りのクッションや
手編みのひざ掛けが何気なく置いてある
それは、その古くて趣のある家を
もっと、風情のある家に見せている