....の無い

「あんなぁ、娘がアイドルになりたいとか
言い始めて、
アイドルのオーディション受けたんやけど
それが上手いこと言って
大阪ではちょっと、有名なグループに
入ってってん
でも、何年たっても下っ端やから
本人も嫌になって
東京でてちゃんと女優めざしたい
そんなこと言い始めてさ
ちょうど、じいちゃんも死んで
保険やらなんやら財産ができたから
こっちで暮らすことにしたんや」

相変わらず、あの頃のように
趣味の悪い派手な服を着て
金色の汚い髪を長く下ろしていた

「そんでな、お金はあるけど
稼げるうちは稼がんと将来なんか
わからへんやろ
そやから、元の古巣を訪ねたんや
さすがに誰も知った顔はおらんかった」