康太はみつほのことを思っていた
あの母と若い男の様子は
みつほだって見ていた
母に全てのお金を渡した後に
「あれ、僕の母なんだ
昔からあれでさ、まぁ、あんな感じ!」
みつほにはあまり知られたくなかった
そうは思ってみたが
仕方のないことだ
彼女から生まれたのは
まぎれもない事実だ
みつほは手を叩いてホッとため息を漏らした
「康太さん、すてきねぇ~
まるで小説みたいな環境で育つなんて
羨ましいなぁ
私なんて普通の家で
普通に教育熱心で
普通に生きること命みたいな家に生まれて
想像力でしかロマンチックな世界には
入れないのよ」
ロマンチック?????