刷り込み
ここからは簡単だ
ニューヨークから後400万あればすぐに
いい物件が手に入る
これ以上、母さんには甘えられない
そうメールする
園子は疑うことなく、すぐにお金を振り込む
これで、今回の仕事は終わりだ
キナと貞丸は上野の汚い焼き鳥屋で
祝杯をあげる
「でも、少し心が痛まないわけじゃないよ
今回、僕が初めて頑張った仕事でしょ
彼女、別に悪い子じゃない
田舎から頑張って出てきて
東京で奥様になりたかっただけだと思うな
貯金だって、なんでも底値で買って
頑張って自分で自炊して
料理下手だったのに」
キナは美味しそうにビールを飲みながら
「彼女が余計な夢を見なければよかったのよ
東京の私立大学に四年いた間に
ここは自分が住む街じゃないって
気がつくべきだったね
卒業したら田舎に帰って公務員にでもなれば
本当の幸せが掴めただろうに」