刷り込み

都内の高級ホテルのラウンジ

園子は一番上等なワンピースにした

それでも1万5千円のもので

自分の中では1番の高級品だ


しかし、大野と母親を見て唖然とした

大野はいつだって高級そうなスーツなのだが

今は、もっと、仕立ての良さそうな

高いスーツを着ている

母親は若い!

自分の田舎の母親と同じくらいと

聞いていたが、全く違う

いや、本当はキナは貞丸の

母親となるには若すぎるくらいなのだ


そして、その服、バッグ

もう、一眼見て高級ブランドだとわかる

都内で心療内科をやっているのだ

それは当然かもしれない


テーブルについて紅茶を注文する


「園子さんっておっしゃるのね

可愛らしいお嬢さんだこと」


キナは思ってもいないことを言う

田舎から出てきた、真面目なだけが取り柄の

安っぽい女だ