発達障害の母

コーヒーを入れて出してくれる食器

マホガニーのテーブル

ゴブラン織りのカーテン

静かに流れているショパン

そして、テーブルの上の

真っ赤なバラ一輪


私はなぜここにきたのかも忘れて

なっちゃんを見つめた


「高校を出てから、慶応に合格したの

もちろん、医学部で

私は実家を継ぐ予定だったの

弟がいるんだけど

発達障害でね

勉強は申し分ないけど

人間関係を構築できないし

勉強も国語が壊滅的だから

高校受験もできなかったの

結局、うちの家のお荷物でね

人の心がわからないって怖いことよ」


私は激しく頷いた