発達障害の母

このボロアパートの中は

本当にニューヨークか

イギリスのベーカー街にある

古いアパートだ

置いてある家具がまた、

古いマホガニー

私はネットでしか見たことのない

イギリス様式のものだ


でも、それは高校時代のなっちゃん

この年齢になったら、使っていそうな家具だった


「コーヒー飲む?

水出しのがあるんだけど」


私は喜んで頷きながら

壁際の本棚に目を通す

そこにある翻訳物はひとつもない

シェイクスピア

そして、バーナード.ショー

オー.ヘンリー


「相変わらずだね〜

結婚はしなかったの?」


あの頃のなっちゃんのイメージは

医者になっているか国際弁護士か

世界を飛び回る女性投資家

そんな大人になっていそうな女の子だった

男子に絶大な人気はあったけれど

高校生の男子なんか興味もないって感じだった