発達障害の母
友くんがおっかぶせるように
「頭も悪けりゃ、才能もないし
顔も悪けりゃ、性格もダメ
だから、心配なんだよ
家を継げば苦労しなくても
とりあえず食べていける
親がやったとおりにしてればな
それがこの辺の爺さんや婆さんの考えさ
まぁ、今はそれじゃ先細るだけで
親の言うことを聞いて、家を継いでも
才覚がなけりゃやっていかない」
そうだ、この村はそんな風だった
「うちはもう、母でおしまいだけどね
弟と私が家を出て東京にいくことを
反対されなかったのは、父のおかげだわ」
「まぁ、あ~ちゃんちは特別っていうか・・・・」
そうだ、この村では特別だったから
姉弟二人とも都会に出て好きにできたのだ
父は母と結婚した責任を取るつもりで
すべてひっかぶってくれた
母のことで何か言われて私や弟が落ちこんでいると
『すまんな・・・・』
私たちが落ち込んでいることなんか
まったくわからない母に代わって父がぽつりと言ったものだった