発達障害の母
「じゃ、ちょっと、恵子と
喋ってもらおうかな」
また、次の日に恵子ちゃんが来ると言うと
母は大喜びで
村長の美しい嫁など
自分一人の時には絶対来ない
来るのも嬉しいし
「じゃ、明日もまた
買い物に行っとくよ
何かお茶請けに出すかい?
この間私が作った漬物があるよ」
母の料理は大体の確率で
髪の毛が入っている
私ならなんとか我慢できるが
人になんか出せやしない
「うん、わかった」
適当な返事だけしておいた
次の日、恵子ちゃんがやってきた
私は母の漬物を出す代わりに
とっておきの紅茶を入れた
「ありがとうございます
うちのにあ〜ちゃん
あ、うちのがそう呼ぶもので
ごめんなさい」
「あ〜ちゃんでいいよ
「これ、美味しい!
カップも素敵ですね
お母さん幸せですね
東京から娘さんが帰って
こんな美味しい紅茶を入れてくれるなんて」
発達障害の母
大したことはなさそうな中学だった
いや、この辺りから入れば
お嬢様だろうが.......
その、出身者という女優もそんなに
有名ではない
しかし、東京の私立に行く子だって
そう、有名なところに行く子ばかりではない
恵子ちゃんの虚栄心だろうか?
いや、虚栄心だって悪いわけじゃないが
「それよりも樹奈ちゃんの成績の方は
大丈夫なのかな?
ごめんね、中学受験は高校受験とかとは
ちょっと、違って、学校の成績が良いからって
合格するとは限らないから
大概、みんな塾に行くか
それ専用の参考書をやらせるのよ」
ネコはすっかり困ってしまった
田舎の小学校なら娘の樹奈は
ダントツによくできる
しかし、恵子がどこまでわかっていて
そう言っているのかはわからなかった