全く何もないまま

正二は不思議そうな顔で
ミキを見た
ミキは正二が言いたいことがわかった

「そうだね
大多数に憧れるのって
なんかダサいね
その点、マネージャーはすごいなと思うよ
そんな瑣末なことにとらわれることなく
自分の才能を伸ばせる道に突き進んで
今や莫大な財産なんでしょう?」

「いや、祥子ちゃんのことを
ダサいとか思わないよ
でも、じいさんに後見人になってもらわなきゃ
まだどうしようもならないけどね
未成年って不便だよな」

「ううん、馬鹿らしいって思うよ
でもねぇ、なんかどうしても
普通に憧れちゃうのよ」