街の灯り

「僕、こっちに帰って来て
一番に自分の歴史を調べたかったんだ
一緒に調べませんか?」

ミキは自分もそうしたいと思った
生まれた場所、環境、血
恨んでばかりいた自分はいったいどうしてできたのか
沢村の言葉をきっかけに
自分も自分が生まれた理由が知りたくなった

「ショウ君、本当に知りたいの
知ってうれしくなりそうな歴史ではないと思うけど」

沢村が笑いながら

「真実こそが素晴らしいのさ」

ショウはうなずきながら

「そう思います」

その言葉を聞きながら
正二を思いだした
あの風俗の小屋で生まれて育って
その中で能力を開花させた、優しい正二
ショウはそっくりだ

次の日から二人で調べてみることにした
ショウはみぃにそのことを話すと
みぃはちょっと、心配げに

「お姉ちゃんはどうしようもないことを
嘆いたり、ぐちぐち考えたりする人だから
ショッキングな事実が現れたら
ショウがお姉ちゃん、あ、いや、ミキおばさんを
助けてあげてね」

そんなことをショウに言った

街の灯り

「僕、こっちに帰って来て
一番に自分の歴史を調べたかったんだ
一緒に調べませんか?」

ミキは自分もそうしたいと思った
生まれた場所、環境、血
恨んでばかりいた自分はいったいどうしてできたのか
沢村の言葉をきっかけに
自分も自分が生まれた理由が知りたくなった

「ショウ君、本当に知りたいの
知ってうれしくなりそうな歴史ではないと思うけど」

沢村が笑いながら

「真実こそが素晴らしいのさ」

ショウはうなずきながら

「そう思います」

その言葉を聞きながら
正二を思いだした
あの風俗の小屋で生まれて育って
その中で能力を開花させた、優しい正二
ショウはそっくりだ

次の日から二人で調べてみることにした
ショウはみぃにそのことを話すと
みぃはちょっと、心配げに

「お姉ちゃんはどうしようもないことを
嘆いたり、ぐちぐち考えたりする人だから
ショッキングな事実が現れたら
ショウがお姉ちゃん、あ、いや、ミキおばさんを
助けてあげてね」

そんなことをショウに言った

発達障害の母

すると、ネコが

「田舎だからね

貧乏でも土地もあるし、牛が一頭でもいれば

ずっと、家を守ってほしいって思うさ

雅ちゃんちは爺さんの代にこの村に来て

流れ者だったのが苦労してここにいついて

何とか土地と家を手に入れたから

やっぱり、継いでほしいんだよ

女の子二人しかできなかったことを苦にして

雅ちゃんのお母さんは病気になって死んだんだもの」

 

東京のマンション暮らし

夫は長男ではあるが、父親は大手企業のサラリーマン

家を守る意識なんてどこにもない

ただ、お墓の場所に困るくらいだ

それも、近所のお寺の納骨堂だと便利だから

皆そこに入ることにしているぐらいのことだ

ここで生まれた私だが、まるで別世界の出来事だ

街の灯り

「君のおじさんの職業は風俗の客引きだっただろう?」

ミキはショウの手前、ちょっと、躊躇したが
ショウがみぃから正二のことを聞いているのならば
ここは普通に話を続けたほうがいいだろう
だいたい、沢村はそういう忖度はしない
世の中のことは、いろいろ気を使ったり隠すよりも
まっすぐに伝えたほうが間違いがない
特に知性がしっかりと、その人を支えている場合は
そのほうが絶対いいというのが持論の人だ

「女癖が悪く、お金にもだらしなかった最悪の人だった
そう言っていたけれど、
君のお母さんを男で一つで育てたことを思うと
もっと、いい人というか、
その時代だって無責任に児童相談所に置いたっていいんだからさ」

そういわれると、ミキはもう一度母と爺さんのことを考えてみた
婆さんの話は聞いたこともないが
どうせ母と同じような人だろうと思っていた
そうだ、それにしても爺さんは母を手放さなかった
それは、お金のためだったとずっと思っていた

発達障害の母

かからない、ただそれだけだと友くんが教えてくれた

 

「あ~ちゃん、甘いよ

っていうよりかは、雅ちゃんの実家が何かと

お金に困っているっていうのが一番の理由だよ

雅ちゃんがさっさと嫁に行ったから、妹が家を継がなきゃいけない

そのことが、もともと、あの姉妹が仲が良くない元だよ

妹にも好きな人がいて、その人が大阪に行くから

それについていこうとしていた時に、雅ちゃん

妹には内緒で籍を入れて、さっさとあの家に入っちゃったんだよね

それが原因であそこの舅や姑も雅ちゃんに嫌な気持ちを持ったし

しばらくは雅ちゃんちの親も勘当したと村の人に言いまわって

妹の恋愛をあきらめさせたんだ」

 

「え?雅ちゃんちってそんなに家を大事にしなきゃいけない

家業だったっけ?」

 

子供のころの記憶では牛を数頭飼っている

小さな農家だった

 

街の灯り

母の若いころの話など
聞いたこともなかったし、聞きたくもなかった
祖母の話もタブーだったし
写真すらなかった

「私、お母さんの若いころ初めて見た
お父さんは中学の卒業写真を大事にしていたから
その頃は知ってるんだけど」

「おばあちゃん、綺麗ですね
ママに似てる!
僕はどっちにも似てないかな
パパに似てるらしいけど、パパの写真こそ
どこにもないんだ
でも、この写真を見ていると
僕のルーツってなんだか素敵な気がします」

ミキはみぃが果たして父の子供だろうかと
ずっと、長いこと不安に思っていたのだが
その気持ちを久しぶりに思い出した
みぃが妹であることは父が違っていたとしても
間違いないのだから
だから、ショウのそんな錯覚はちょっと、困る気もした

「僕はね、ずっと思っていたんだけど」

沢村がおもむろにゆっくりと話し始めた

発達障害の母

私は長いこと都会生活をしていたから

母にめったなことは言うものじゃない

そう言う言葉が出てくるのだが

雅ちゃんが舅を見殺しにしたようなことを

気軽な世話ばなしのように聞いたことを思うと

母のほうが田舎の常識に添っている気がした

 

そhして、そういうことが『まぁ、しょうがない』と

許されるようなそんな空気がこの村にはあるのだ

だからこそ、私は小さなころから

知能が少し足らない母を持つ家の子供だが

少しずつ、ゆる~くいじめられながらも

だれもおおっぴらにはしない

だから、母自身も自分がまともではないと気が付くことなく

うまいこと、この村で生きてこれたのだ

 

そういう、この村ならではの事情はわかってはいても

気持ちの悪いものだ

雅ちゃんの葬式は結局、旦那がいやいや、一番、

お金のかからないやり方で出して、丸く収まった

雅ちゃんの遺骨も自分のうちの墓に入れることで

妹は言いたいことはたくさんあったのだろうが

これで、何も言わずに引っ込んだ

私はこの妹は雅ちゃんが旦那のことをひたすら一途に

想っていたことを考えて、

そっちの家の墓に入るのを希望していたと

何やかや言いながらも本当の妹なだけある

そう感心していた

余計な出費が