街の灯り
街の灯り
発達障害の母
すると、ネコが
「田舎だからね
貧乏でも土地もあるし、牛が一頭でもいれば
ずっと、家を守ってほしいって思うさ
雅ちゃんちは爺さんの代にこの村に来て
流れ者だったのが苦労してここにいついて
何とか土地と家を手に入れたから
やっぱり、継いでほしいんだよ
女の子二人しかできなかったことを苦にして
雅ちゃんのお母さんは病気になって死んだんだもの」
東京のマンション暮らし
夫は長男ではあるが、父親は大手企業のサラリーマン
家を守る意識なんてどこにもない
ただ、お墓の場所に困るくらいだ
それも、近所のお寺の納骨堂だと便利だから
皆そこに入ることにしているぐらいのことだ
ここで生まれた私だが、まるで別世界の出来事だ
街の灯り
発達障害の母
かからない、ただそれだけだと友くんが教えてくれた
「あ~ちゃん、甘いよ
っていうよりかは、雅ちゃんの実家が何かと
お金に困っているっていうのが一番の理由だよ
雅ちゃんがさっさと嫁に行ったから、妹が家を継がなきゃいけない
そのことが、もともと、あの姉妹が仲が良くない元だよ
妹にも好きな人がいて、その人が大阪に行くから
それについていこうとしていた時に、雅ちゃんが
妹には内緒で籍を入れて、さっさとあの家に入っちゃったんだよね
それが原因であそこの舅や姑も雅ちゃんに嫌な気持ちを持ったし
しばらくは雅ちゃんちの親も勘当したと村の人に言いまわって
妹の恋愛をあきらめさせたんだ」
「え?雅ちゃんちってそんなに家を大事にしなきゃいけない
家業だったっけ?」
子供のころの記憶では牛を数頭飼っている
小さな農家だった
街の灯り
発達障害の母
私は長いこと都会生活をしていたから
母にめったなことは言うものじゃない
そう言う言葉が出てくるのだが
雅ちゃんが舅を見殺しにしたようなことを
気軽な世話ばなしのように聞いたことを思うと
母のほうが田舎の常識に添っている気がした
そhして、そういうことが『まぁ、しょうがない』と
許されるようなそんな空気がこの村にはあるのだ
だからこそ、私は小さなころから
知能が少し足らない母を持つ家の子供だが
少しずつ、ゆる~くいじめられながらも
だれもおおっぴらにはしない
だから、母自身も自分がまともではないと気が付くことなく
うまいこと、この村で生きてこれたのだ
そういう、この村ならではの事情はわかってはいても
気持ちの悪いものだ
雅ちゃんの葬式は結局、旦那がいやいや、一番、
お金のかからないやり方で出して、丸く収まった
雅ちゃんの遺骨も自分のうちの墓に入れることで
妹は言いたいことはたくさんあったのだろうが
これで、何も言わずに引っ込んだ
私はこの妹は雅ちゃんが旦那のことをひたすら一途に
想っていたことを考えて、
そっちの家の墓に入るのを希望していたと
何やかや言いながらも本当の妹なだけある
そう感心していた
余計な出費が