誘惑の花
京子はハッとした
ああ、彼女の戸籍をしっかりしなければ
お受験なんかとんでもないことだ
だいたい、自分の子供たちが受験の面接のときに
両親そろっているのが、
大っぴらには言われていないが
受験の絶対条件だった気がする
小学校受験では離婚まじかの夫婦でも
受験が終わるまでは何とか我慢するのは常識だったのを
思い出した
だいたい、りさ子はラインだけでつながっているのは間違いないが
全く音信不通
何度、呼びかけても既読にすらならない
父親はまだ、あの部屋にいるのかもしれないが
スピカをどうするかわからないような人間ならば
こちらからコンタクトはとれない
じゃ、幼稚園は近くの受験など関係ないところにし、
公立の小学校に上げるしかないのか?
だいたい、今までスピカは病気一つしないで済んだが
これからは保険だっているに決まっている
そんなことの手続きがしばらく続いたのだが
スピカはこの穏やかな、京子との日常が幸せそうで
児童相談所も問題なく、京子の養女とすることに同意した