逃亡
「美佐子さんはあんたが思っているよりも
数倍賢いし、心も綺麗だよ
いいから、あんたはちゃんとシェリーの面倒を見るの」
チェリーはその日から、シェリーをおんぶしては
歌を歌って、うろうろするようになった
私にお茶を淹れながら
「さすが、お義母様ですね
チェリーちゃん、すっかりいいママになりそうですよ
本当は素直で優しいんですね
ちょっと、軽率なところがあっただけで
シェリーちゃんを産んでから、随分変わってきたし」
「美佐子さんの計算通りだよ
それよりも、美佐子さん、息子の嫁のこと
随分前から知っていたんだね」
「私、智久君の小学受験の時に
一年間くらい、塾で一緒でしたから」
「やっぱり子供がいたんだね」