発達障害の母
「その、成れの果てがここよ!
これが私の財産の全て」
「そうだったのね
結婚は?お子さんは?」
私たちの年齢ならば普通に聞く話だが
ちょっと、躊躇した
「結婚はできなかったわ
生まれが生まれだから、どんなに恋をしても
相手が世間のステージの低い人だと
躊躇しちゃうのよ
自分は殺人者の娘で被害者の姉なのに
こんな程度の低い人とは
人生を共にできないって
思ったりする傲慢さが情けないわ」
じゃ、友君は?
昔のなっちゃんなら、歯牙にも掛けない
相手だと思う
でも、聞けなかった
友君でいいと思うほど
生活が荒んだかと思うと
なっちゃんの人生に泣き出しそうになるし
農家で立派な家もあって
嫁も子供もいる友君が
ここを選んだ経緯にも泣き出しそうになる