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発達障害の母

それは・・・・

 

「下着が違うって、どういうことだと思います?

私はそれ以上は考えないようにしてるけど

やっぱり、やばいでしょう?

あの村でそれがわかるの夫以外は私だけ」

 

これはどういう話なんだろう

いや、私はあの村が昔ながらの古い考えの

人間たちの集まりなのは知っている

うちの母をさげすみながらも受け入れているおおらかさ

息子が村の頼母子のお金を持って逃げた家の息子も

何となく許すし、親や親族もこの村から出ていこうとしない

だから、あの旦那を許せということ?

 

「駐在さんには話したの?」

 

「まさか」

 

この答えが私には信じられない

普通、はっきりしなくても

一応、警察には言うだろう

発達障害の母

私は自分が彼女を連れて帰りたいわけではないし

この場所であったことは絶対言わないから

そう言って、あの店で買ったお皿を出した

 

「よかったら、これ、使って」

 

朋ちゃんは嬉しそうに包装を開いて眺めていたが

 

「あ~ちゃん、あそこの村の出身とは思えないね

なんか、東京に慣れてるし

あそこのお店でお姉ちゃんが、酒におぼれていた時に

会ったよね?

お姉ちゃんはろくでもない人間だったけど

怒りもしないで、偉いなって思ってたんだよ

お姉ちゃん、あん名だから、嫌がられるに決まってるよね

お姉ちゃんのこと聞いてるんでしょう?」

 

「うん、まぁ。あの村だと何でも耳に入ってくるし」

 

「ううん。知ってくれているなら話が早いからね。

私ね、たぶん、お姉ちゃん、あの旦那に殺されたんだと思う」

 

「え?」

 

「だって、お姉ちゃんが発見されたとき

下着が絶対、お姉ちゃんのものじゃなかった

お姉ちゃん、絶対にああいうのは身に着けないもの」

発達障害の母

そのせんべい屋を覗くと

聞くまでもなく、そこで働いているのは

朋ちゃんだった

朋ちゃんも私を見るとおどろいて飛び出してきた

 

「あ、あ~ちゃん、どうしてここに?」

 

「ちょっと、気になって。

良かったら話しできる?」

 

朋ちゃんはエプロンを取ると

すぐに出てきた

 

「何か言っとかないで大丈夫なの?」

 

「うん」

 

なんだか楽しそうではない口調だ

近くのファミリーレストランに落ち着く

 

「お父ちゃんに頼まれたの?

連れて帰ってくれって?」

 

私は頭を振った

 

「ネコがね、頼まれているんだけど

私は連れて帰るなんて思ってもいないから

安心して」

私は

発達障害の母

西新井と聞いたときに私は雅ちゃんの話を思い出したのだ

雅ちゃんは私が田舎に帰ったばかりの頃

あの喫茶店でよく話した

いや、話したというよりは

雅ちゃんの自慢話を聞いたのだが

その話の中に、西新井というワードが出てきた

雅ちゃんの、あの旦那の親友が東京にいて

それが西新井の駅の近くでせんべい屋をやっている

みたいな話があったように思う

朋ちゃんに繋がるという確信はないが

私はそのせんべい屋に心当たりがあるのだ

主人の母がまだ元気な頃に二人で西新井大師に行ったことがある

駅の近くのせんべい屋で買い物をした

歴史のある古そうな店だったが、確か婿養子に入った

みたいな話だった

発達障害の母

朋ちゃんはこの人のことが好きであこがれていたのだろうか

ここの住所をあの暗い家において来たのは

そんな憧れがあったのだろう

 

「その女の人は何か買っていきましたか?」

 

「ううん、値段見てびっくりしたみたいで

そこのお皿ほしそうだったけれど

後ろ見て慌てて置いて帰ったのよ

見るからに田舎から出てきたばっかりみたいで

ちょっと、かわいそうになったけど

ここのお皿はその価値があるからその値段なのよ」

 

まぁ、この人はバラエティでも辛口コメントが売りの人だけど

実際の性格もそうなのだろう

私は朋ちゃんの気持ちはよく分かった

お皿はまぁ、一枚6000円となると、

あの田舎の村の感覚で言ったら高いと思うのは仕方がない

私はそれを買ってプレゼント包装してもらい

 

「西新井のどことか言ってませんでしたか?」

 

「ううん、ごめんなさい、私もそれ以上は興味なかったから

何か訳ありなの?」

 

私は首を振ってそこを出た

そして、まっすぐに西新井に行く

 

発達障害の母

それでも、勇気を決して入ってみる

 

「あ・・・・・」

 

私は気が付いた、この店は雑誌とかによく乗っている

主婦に大人気のバラエティタレントの店だ

レジのところにその人がいた

この住所はたぶん、雅ちゃんの妹が

朋美ちゃんが雑誌か何かで見てそれを写したものだ

 

「すみません」

 

私はそのことに思い当たると

それよりもネコはどこから西新井を導きだしたのだろう

私の考えは間違っていたのだろうか

スマホに入れてあった朋美ちゃんの写真を見せる

これはネコから送ってもらったものだ

 

「あら、また?

この間男の人が同じことを聞きに来たの

その人、お客さんで見たことあるわ

入ってきただけで店の様子をじろじろ見ていたの

どちらからいらしたの?って聞いたら

西新井って言ったから遠くからいらしたのねって

ちょっと、話したから覚えているんだけど

こうなると、ここの住所使われたってことかしら?」

 

発達障害の母

ネコは初めに雅ちゃんの妹が家においていった住所には

行ってみたのだが、もうそこにはおらず

西新井ってところらしいとしか聞いていなかった

土地勘のまったくないネコよりも

私のほうがたぶんわかると思うそう言うと

忙しいネコは申し訳なさそうに

その最初の住所を教えてくれた

 

園田朋美

雅ちゃんの妹がそんな名前なのを初めて知った

ネコも友くんも母ですら雅ちゃんの妹と呼んでいた

朋美さん、東京に親戚はいない

誰かあてがあってこの住所に来たのだろうか?

私が知っている限り、この住所はかなり高級な住宅街だ

なぜ、ここにしたのだろう?

とりあえず、自由が丘のこの住所に行ってみる

そこは小さなセレクトショップだった

センスもお値段も素敵な店で

東京住まいが長いとはいえ普通の主婦の私は

ちょっと、入りづらい