2020-07-02から1日間の記事一覧

その先

私の父親が同級生で仲が良かったこともあって夏休みのある日「あれは嘘なんだ」そうポツリと入った健二の言葉が気になって誰もがいなくなった時に「健二、何が嘘なんだ?」「兄ちゃんが父ちゃんたちの夫婦喧嘩に巻き込まれて死んだって話父ちゃんは酔っ払っ…

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長い話になったがその健二さんが病気で亡くなり奥さんとはとっくに離婚していてその私と同級生くらいの男の子、充くんはそのお婆さんのところに引き取られたのだ父や母、いや、村の誰もがあの婆さんに育てられるとは可哀想な子だと心で思っていた充くんが初…

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私も見に行きたかったがそういうことははしたないそう、母に教えられていたので友達に聞いた噂話を話すと父は「健ちゃんからは、たまに年賀状が来ていて偉い、出世していいとこから嫁さんもらって二度と、村には帰らないけど東京で幸せにしているって聞いて…

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村の子供たちはみんな、同じようなことを思っていたでも、充くんの容姿があまりに都会的だったし初日から勉強がよくできるのはすぐにわかった担任の教師は、地元の歴史に詳しいそれだけの理由で戦争が終わった頃の人手不足から教師になったような村の人はあ…

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その教師は休み時間にお気に入りの女の子を呼ぶと膝に乗せたり、お尻を触ったり胸を触ったりする私たちにとっては日常の光景で教師に楯突いてはいけないことは嫌ほど言われていたのでいいことではなかろうくらいのことは思っていたがそれを誰かに言ったりは…

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「わかってるよでも、こんな田舎の村でしょう昔から先生が来てくれないのよだから、、みんな、もちろん、お父さんとかお母さんもなんとなくわかっているけど黙ってるの」私はその頃の村の中がそれだけじゃなく大変卑猥なことが色々あったにもかかわらず波風…

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充くんは私を見てニヤリと笑う「こんな村で育ったのにお前、頭いいな!」褒められても嬉しくないこんな田舎で育ったが親からも『お前』呼ばわりされたことはない「あんな糞教師の授業なんか馬鹿らしい!俺、お金持ってるから町に遊びに行かないか」町はバス…

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「ここの町なんか東京を知ってる充君には面白くもなんともないよここを抜け出すにはあんな教師に目をつむって受験で出るしかないよ東京とかだと中学受験ってやつがあるんでしょう私らには夢だけど充君ならば大丈夫じゃない」私は田舎の子供だけどその辺りの…

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その話は父も知っていた母は「ねぇ、あなたからなんとか言ってあげればこの村であなたがあそこの息子さんと一番、仲良かったし充君だってなんとか小学校ってすごいところに行ってたんでしょうこの田舎に家を建てたってお金は余るんじゃないの?」父も、そう…

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それから、充君は学校に来ない日が多くなったもちろん、来なくてもこのアホな担任の授業なんかとっくに理解してるしこの学校の子供で彼の遊び相手になれるような子はいないそれでも、たまに学校に出てくると私の横に来て「最近何してるの?」そんなことを聞…

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そんな日が続いて充くんはすぐに私の好敵手になった開成のお兄さんにお礼の手紙を書くと私たち2人からの手紙に感心していろいろいらない本を送ってくれた充くんは中学を卒業したら奨学金で高校に行ってお兄さんが東大ならば僕も行くと張り切っていたそんなあ…

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でも、髪はバサバサで手の指の爪には土が入っていて、真っ黒だった「ちょっと、充にいらん知恵をつけてくれちゃ困るよ勉強ができたって金持ちにはならんようちは中卒だけどこうして金持ちになれたんじゃ」そう言って父を見ると「あんたの母ちゃんの志保さん…

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すると、母が飛び出して「うちのお義母さんは素敵な方でしたお金よりも素晴らしいこと沢山おしえてもらいましたお金持ちになったって心が腐っていれば、何にもなりません」すると、、婆さんはせせら笑いながら「負け犬の遠吠え!とにかく、ここにはもう、来…

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その日以来、充くんはうちにも来なくなったし学校にもでてこなかった私は心配しながらもあの婆さんにイチャモンをつけられて家族を中傷されるのは嫌だったその怖いことが起こったのはそんな頃だった校長先生が全校児童を集めて「神社の裏に猫の遺体がたくさ…

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私はすぐに頭に充くんが浮かんだいや、村の誰もがそう思ったしあの婆さんと同じ屋根の下に暮らしていたらそうなるのかもしれない充くんの家は後ろの土地に大きな家を建てる途中でなんだか落ち着いていなかった警察の車が止まっていた小さな村だ調べればすぐ…

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「何で?」私は言葉に詰まった警察に知らせるって言うのは当然のことじゃないの?それに、今、充くんがきっと疑われてる「警察に言うのが本当だってわかってるけど真面目にちゃんとしていたっていいことなんかひとつもない犯人を脅してお金を取るそして、婆…

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充は躊躇していたがカレーなんていつぶりか忘れるほど食べていない大人しく私についてきた母は大喜びで「充君はカレーに何入れるのが好き?うちはお父さんは唐揚げで花はゆで卵!どっちものせてあげるね」父も嬉しそうに私を見たよく連れてきた!と言ってる…

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風呂から上がって充くんは私の部屋に来た「何やってるの?まだ、開成のお兄さんの問題、やってるの?」「うん。やってみる?私だいぶ進んだんだよ」「花、すごいな!別に中学受験するわけでもないんだろう?大学に凄いとこに行きたいとか?」私は首を振った…

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「アイツって誰?あの鎌持って歩いている人?あの人はそんなことしないと思うけど」充はこの村に来てまだ、日が浅かったから鎌の人は知らないはずだ「それ、誰?俺が言ってるのは…」充くんは躊躇したそれはそうだろう脅迫しておばあさんを殺してもらうとまで…

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それでも充くんは私の家にいるあいだ学校にも行き母が作った弁当を嬉しそうに他の友達と食べ帰ってきたら私と宿題をしたり図書室から借りてきた本を読んだりほとんど、私といたそんな日々が続き猫を殺される事件は嘘のようになくなり警察もうろつかなくなった

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それでも充くんは私の家にいるあいだ学校にも行き母が作った弁当を嬉しそうに他の友達と食べ帰ってきたら私と宿題をしたり図書室から借りてきた本を読んだりほとんど、私といたそんな日々が続き猫を殺される事件は嘘のようになくなり警察もうろつかなくなった

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「アイツって誰?あの鎌持って歩いている人?あの人はそんなことしないと思うけど」充はこの村に来てまだ、日が浅かったから鎌の人は知らないはずだ「それ、誰?俺が言ってるのは…」充くんは躊躇したそれはそうだろう脅迫しておばあさんを殺してもらうとまで…