恋をしたとき

イメージ 1

康太が突然やって来た
部屋に入るなり、椅子にどかっと座ると

「星人が一人でアメリカに行った時
何ともなかった?
確か、まだ、中学だった
それもニューオーリンズなんて、得体のしれない所だ
笑って送り出したの?」

ああ、章子に何かあったのだろう

「ええ。心配と独占欲を履き違えてはいけない
私が高校には行ったばかりで、パパとママは
笑ってみぃさんのところに送り出してくれた
すごいと思ったし、学歴も何もないけれど
私は今は幸せだから、
私もそんな母親になりたかった」

「タケオ君は?」

「タケオこそ、中学から家出をして
私と結婚するまで、一人で生きてきた
親は捜索願すら出さなかった
それはありがたいことだったって
言ってるわ」

康太はしばらく考えた

「うん。わかる。
姉さんは僕が大学に入るまでの手伝いはしてくれたけれど
その後のことには何も言わなかった
僕も自分の好きなことに邁進した
それがたまたま、勉強だったに過ぎない」