暇な奴ら
速水はみぃのその言葉に救われる思いだ
そこに新開がやって来た
夫のほうだ
「あら、何か問題でも?」
みぃが仕事のことだと思って立ち上がる
「いや、そうじゃなくって」
新開の夫は、多分、新開よりも10くらい下のはずだ
どんな時でも冬場はユニクロのセーターに安いダウン
靴は一年中、ニューバランス
それも、新開が買いだめしているから、それを履いているだけで
別にスニーカーならば何でも構わない
ぼさぼさの髪の毛に高校から使っていると言う眼鏡
一般社会のことには全く興味がない
新開がこの男と結婚した理由はただ、一つ
お金持ちだったからなんだろう
それにどう考えても、落としやすそうだ
「あ、あの、鋼君のことで
何か気にしてもらっているんだとか?
妻はこちらに仕事を紹介してもらってから
それに夢中で、全く子供の面倒を見なくなったそうで」
速水が慌てて
「あ、ごめんなさい
私が誘ったから!」
「いや、そうじゃないです、そのクレームに来たわけではありません」