姉のこと

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小百合は康太が、いちいち驚いているのには
気が付いていた
康太の生まれ育った住所
東京はその住みわけがすごい
その場所を聞いただけで、恵まれていない子供時代だったろうとは
容易に想像できた

でも、そのことは触れてほしくなさそうなので
どんなに気軽な口が利けるようになっても
小百合は触れなかった

何処の時の子供時代を聞かれても
まったく恥ずかしいところのない自分の環境
卒業した大学の友人たちは、付属の幼稚園からの
家族ぐるみの付き合いで
お互いのベッドの寝心地まで知っている
何処の家も、お手伝いさんも知り合いで仲良し

小百合は章子にもそんな子供時代を送ってほしいと
願っていたのだが
章子と小百合の違いは
章子の頭の回転の速さ
幼児教育からお稽古まで
誰よりも早く覚えるし、何でも器用にこなした