秋風
メイが日本に帰ってしまうと
本当に自分の生い立ちからの呪縛が取れた気がした
日本から帰って来たタケオがニヤつきながら
ホテルの部屋に入って来た
「あれ、タケオさん、もう少し日本にいるんじゃなかったですか?」
タケオはものすごく楽しそうに
シャンパンと小さな箱を渡してきた
「花は俺が用意した、こっちの箱は嫁さん!」
「速水さん?僕に?」
「ハハハ、違うよ!
いや、そうなんだけど・・・
あ、もう、時間がないから
すぐにこれ持って、ここのレストランに行って
予約してあるから!」
祐介は何が何だかわからない
「ちょっと、うちの社長と結婚することにしたって
本当のお話だろうな!」
「あ、いえ、その・・・・」
「え?違うの?」
「いや、あれはメイを帰すための、方便というか・・・・」
「それだけ?」
「あ、違います。すごく気になってはいますが
社長だし、なんか、僕の高望みって言うか・・・」
「もう、めんどくせえな!
社長のこと好きなんじゃないの?!」
「あ、好きです!」