秋風

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大木の家は決して嫌な家ではない
父は妹が祐介の父との不倫をしでかしたばかりに
誰もが不幸になり
とりわけ、小さな子供だった祐介には
心から済まなかったと思ってくれていた

祐介は祐介で
あの時の母を見ている
長いこと不倫だの夫婦の愛だのわからなかったから
あの時の母の鬼気迫る恐ろしさは
子供心に母が一番悪いとしか思えなかった
父が死に母が捕まって、自分を引き取ってくれた大木の家
小さいながらも
よその家の人なのに可愛がってくれる
そんな感謝の思いで生きてきた
特に大木の母は本当に優しい人だった

だから、勉強も運動も大木の家の両親のために頑張った
メイは小学校からの幼馴染だが
大木の父のゴルフ仲間の娘でもあった
ほとんど家族ぐるみの付き合いで
付き合い始めた時も、メイの独断で始まったようなもので
祐介は好きも嫌いもなかった