秋風
「みぃさん、良かったの?」
速水はみぃにちょっと、遠慮しながら優しく聞いた
母であるミキが亡くなって
速水自身もショックだったのだが
みぃも同じ気持ちであることはわかっていた
みぃはミキとはずいぶん年が離れていて
実際は母親代わりだったものだから
速水とよく似た気持ちだったのだろう
「ん?何が?」
みぃにとって速水は本当にかわいい姪であるし
会社を大きくしてくれた張本人だし
何でも話せる友人のような所もあった
「大木さんのこと、そんな年が離れているわけでもないし
私、みぃさんにはお似合いだと思ってたんだけど
正二さんにも似てたんでしょう?」
飲んでいたウィスキーを少しむせながら
「何のこと言ってるのよ!
速水ったら!」
速水はみぃが今まで正二以外の男を
好きになったことはないのはよく知っていた
大木に会って、もしかしたらみぃは大木のことを
想っているんじゃないかと気にしていたのだ