秋風

イメージ 1

みぃが間違いのない生まれや
子供のころから有名私立に行かせる家庭や
そこから生まれる物腰の柔らかさや、育ちの良さ
最近までみぃはそんなことに頓着したことはなかった

姉のミキは中卒の風俗嬢である自分を
そんな風に見える人間に変えたいと願い
そんな風に見せていたのだが
みぃにしてみれば、そんなことに何の意味があるのかわからなかった
そして、東大の教授と結婚して
全く世間的には素晴らしい生まれの人たちのように
生きていたが、速水はそのすべてを否定するような
みぃたちの母親のような性依存症だった
姉はそのことでどんなに苦しみ
みぃは、そんなことで悩むのは馬鹿臭いし
生まれだとか、風俗に走ることとか
全く悪いことではないと思っていた
そこにはどんな世の中になっても必要とされる仕事だと言う
自負すらあったのだが

今、自分の生まれのまますべてを手に入れてみると
姉の気持ちが初めてわかって来た
努力では手に入れられない『生まれ』
そんな物にあこがれ始めた時に
正二にそっくりな大木が現れたのだ