秋風

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「僕は五才でした
新しい家で暮らし始めた時
そこに、僕の血を分けた人間がいないことは
ものすごく寂しかったけれど
僕は母が包丁を持ってぼうっと立っていたのは
この目で見ていました
誰が悪いとか、どうしてそうなったのかはわかりませんでしたが
僕は大木の家で常に緊張して生きていました」

その話は反対の意味で、今話を聞いている誰もの
心を打ち、そして、そう言う生まれならば
幹部連中は大いに喜んで受け入れるだろう

「だから、僕は頭がいいわけでも
要領がいいわけでもありません
五才の時から大人の顔色を窺って生きてきたし
勉強ができたのは人の数倍努力したからです
幼稚園の時のお遊戯すら努力しないと踊れなかったんです
幼稚園の発表会の前の日に
養父母は親として全力で務めるように
僕をかわいがってくれ、応援してくれました
僕はその夜、夜中にこっそり起きて
お遊戯の練習をしました
養父母のために完璧に踊らなきゃ!
そう思ったんです」