タケオという男

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木佐はそんなことは全部わかっていたし
タケオが断ってくるのもわかっていた
ただ、そのプロセスを彼女の手前踏む必要があったのだ

「ああ、ありがとう
中に入ってもらったのが伝説のハーミーだと話せば
彼女も納得するよ」

これはどこかで知っている話だ・・・・
速水は木佐の帰っていく後ろ姿を見て思う

あ、みぃおばさん・・・みぃさんの話のどこかで
こんな話があった気がする
それは、はっきりとは言わなかったが、母の話だったと思い出す
母のことを献身的に愛した男を好きだった
みぃさんはそう言っていた
その男は最後、銃で撃たれたとか何とかいう話だった

もちろん、人を愛すれば愛してほしいという見返りは求める
そして、一人のものとなってほしいと考えるのは健全なことだ
でも、健全であることが正義ではない
この多様化した世の中で形を変えた、本物の愛は
健全な中に本当に存在するのだろうか