タケオという男

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父に言わせれば、木佐のほうが本物の愛を知っている
そう言いそうだが、やはりタケオの健全なところに
速水は惹かれてしまう

「その、女!」

今まで木佐に遠慮して奥さんなどと言っていたが
とうとう、女ということになった

「どういうつもりなんだろう?
木佐さんにほんとうに惚れているのならば
家族とは手を切って木佐さんのところに
一人で来るべきなんじゃないの!
木佐さんだってそうやって飛び込んでくれば
あんな仕事はやめて、もっとまともな仕事に就くでしょう」

もちろん、健全な話だ
でも、この話を息巻いてタケオが話している限り
速水とタケオが結ばれるなんてことは絶対なさそうだ

「わかった、木佐には話しとくよ
じゃ、またね!」

速水は冷たく立ち上がった
その冷たさを誤解したタケオはあわてて

「え?なんか間違ったこと言ってる?
なんか、ごめん」

その謝る姿を速水はやっぱり好きだと思ってしまう