速水の悩み

父親としては悲しい予感しかしなかった
自分がミキを追いかけたあの一途さなど全くなかったが
こんなこと、どうしようもないことだ
父として想像できる限りに二人のことを思ってはみたが
ロクなことは思いつかない
ただ、その男が速水の弱みを握って脅迫をかけてきても
速水自身の財産はものすごくあるのだから
まぁ、何とかなるだろうと
一人帰って行った

「父親がここの大学教授?」

速水が説明する

「それで、タケオこそ、ここは場違いなんじゃない?」

すると、タケオはちょっと、怒ったように

「バカにするなよ!
父親は慶応、母はお茶の水、兄はハーバード
俺だって、あの時家出してなかったら
ここだったかもな!
兄貴より成績は良かったから」

速水はその小さなプライドに驚いたが
こういう所が、自分がお金で買ったほかの男と違う所だったと
思い出した