手に入れた物

「明るいお母様で
いつ帰っても、父は楽しそうにしていました」

あの母を手放しに誉めてくれる
少し、苦笑いだ
確かに深刻になることはなかった
特にいい男を捕まえている時は
ご機嫌だった
そういうことも今だからわかることで
だいたい、男とうまくいっていて機嫌がいいときは
家にいなかった

家に帰ってくるときはフラれて身も心も
ボロボロになった時だ
学校から家に帰ってみれば、布団に入って寝ている
食事の支度なんか
だいたい、爺さんが白いご飯を炊いて
ミキが納豆を買いに行ったものだ

ああ、それでも、あの母が必要だった人間はいたのだ