手に入れた物

「私の家は母が私を産んで一年もしないうちに
病気で亡くなりました
父の母がそのあと面倒を見てくれたのですが
その祖母も私が三歳のときに病死
それからは男で一つで私を育ててくれました
父は真面目で優しくて、私は中学の頃
反抗したくてもできないほど、私のことを考えてくれ
仕事は出世する機会もあったでしょうに
まず、私のことを第一に考えてくれ
学校の行事にはすべて顔を出してくれるし
飛行機の客室乗務員になることが夢だった私にを
心から応援してくれ、早くから英語を習わせてくれたり
受験勉強で夜遅くまで起きていると
コーヒーを淹れてくれたり
本当に優しい父だったのです」

ああ、飛行機の客室乗務員の方なのか
どうりでしっかりしているし美しい人だ
ミキがそう思っていると

「私が無事に仕事につくことができ
父も定年退職を迎えるころだったんです」