柿の大きな袋を持って
楽しそうに笑っている彼女を
追い返すわけにも行かずに
家に招き入れた
「今日は旦那さん、在宅じゃないの?
失礼じゃないかしら」
お茶を出しながら
「今日は大学なの
素晴らしい柿ね
お高いものなのに、ありがとう」
「たくさん頂いたから」
そこからはなんの実りもない
世間話が続く
ミキは突然、この無意味な時間を深いものにしたくなった
「私ね昔風俗嬢ってたの
お客さんの中にお金持ちのおじいちゃんがいて
千疋屋の果物をいつもたくさん持ってきてくれていたの、その時の柿と同じくらいりっぱだわ」