そして恋人へ

病院の白い部屋で
ベッドに横たわっている優未は
本当に小さな子供に見えた
ぐっすり寝ている

何も考えないまま
康太は優未の白い手を取って
握りしめた
こんなにこの子を大事に
思う自分に気がついて
怖くなった

パッと手を離した途端

「戸田さん?
やっと、会えた!」

優未が目を開けて、康太の手を探した

何か考える暇もなく
康太はもう一度
華奢な白い手を握りしめた

「やっと、会えたな」

その言葉は感情からだけのものだった

「戸田さんも?」